6月は、仕事に追われる毎日で、海外出張があったわけでもないのに、いつの間にか過ぎ去ってしまいました。
その6月の下旬、国連機関主催のリスクマネジメントのセミナーに参加しました。少ない講師陣ながら、とてもよく準備されていて、大変良い学びをすることができました。 圧巻は、最終日に行われたシミュレーショントレーニング。参加者たちがバーチャル事務所を構成し、次々に起きる難事件に対応するというものです。恐ろしく細かく計算されたシナリオに基づき、電話がかかってきたりメールが届いたりするのですが、即席事務所の中の雰囲気が、どんどん余裕がなくなり、アップアップしていくのが手に取るようにわかるようでした。
特に電話をかけてくる役の人たちがすばらしく、国連機関のインターンの方々だったのですが、彼らの迫真の演技にやられました。しばらくの間対応に追われた後、参加者たちは、その日の午後ずっとため息をつきっぱなし。冗談抜きに、ちょっとしたPTSDでした。 さて、このワークショップ中で、何回もグループディスカッションがあったのですが、ADRA Japan も事業を行なっている南スーダンの例をとってリスクマネジメントについて話し合う機会がありました。
できるだけ最悪のシナリオを想定してみようということになり、国境付近の村に派遣されている日本人スタッフが、雨季に銃撃戦に巻き込まれて大怪我をしたという設定にしたのですが、その途端、あれ?これってもしかして、そのスタッフを首都或いは国外の病院に運ぶ手立てが無い?という絶望的なことに気が付きました。 そんなハズはないだろうと思い、ADRA の事務所に帰って、事業担当者に尋ねました。本当のところはどうなんですか?と。すると、いゃ、実は手立ては無いのだという衝撃的な話を聞かされました。「だって、現地の人もそうでしょう。そこはもう、覚悟の問題ですよ」と。ちょうど南スーダン駐在女性スタッフが一時帰国中だったのですが、彼女も笑顔で同じことを言いました。 (-_-;)ホントカ・・・オイ
これは南スーダンに限ったことではありませんが、改めて、フィールドに派遣されるということがどういうことであるかを思い知らされる経験になりました。 もちろん、ADRA にできるリスクマネジメントをしっかりしていきたいと思いますが、でも、最終的に、私にできることは、スタッフたちのためにお祈りすることだと思わされました。
そして、赴任する前から、何故ADRA の支部長が牧師じゃなければならないのだろうかと疑問に思っていたのですが、その真意は、実はこの辺にあるのかなと思ってみたりもしました。